2025年 岐阜基地航空祭で行われた、機動飛行と試験飛行の演目一覧を作りました
航空祭で掲示板に貼られていた資料を参考にしています
演目名の説明はAIが解説してくれたものを載せています
赤枠内は掲示物に書いてあって、基地の方のコメントです
面白かったので、転記してみました
F-15機動飛行演目
① 8の字旋回
左右の旋回を連続して行い、空に「∞(無限大)」の軌跡を描く機動
バンク角を維持したままスムーズに方向転換を繰り返す
パイロットの操縦精度とGコントロールが試される演目
8(えいと)の得意な8字旋回。
だいたい8Gかかります。
F-2のようにリミッター機能?
そんな文明的なものありません。
速度と相談しながら操縦桿を引いています。
(おもいっきり操縦桿をひくと壊れます)
② ナイフエッジ
機体を90度傾け、翼を立てた状態でまっすぐ飛行する機動
垂直に近い姿勢のまま直進し、観客席の目の前を通過する
揚力をほぼ胴体側面で支えるため、スティック操作が非常に繊細
・機体を90°に傾けて、翼じゃなく垂直尾翼で空をスライス中!
・実は下側のエンジンだけアフターバーナー焚いてます。
👉つまり、片足スクワットで暴走しているみたいな状態です。
・シャッターチャンス
③ コンバット・ピッチ
急上昇から背面姿勢を経て一気に方向転換する高機動演目
戦闘中に敵機の背後を取ることを想定した実戦的な動き
空にブーメランのような軌跡を描き、F-15の推力と反応の良さをアピール
戦闘機のドリフト駐車
・高速で突っ込んできて、機種(たぶん誤字)をガって上げて一気にターン
・速度を一気に失わせ、最短で着陸モードに変身
・要するに「速すぎたので無理やりサイドブレーキでターンして駐車場にIN」みたいな技
④ 上昇旋回
旋回しながら上昇する機動
遠目にはらせんを描くように見える
パワーを維持したまま姿勢を保つ高度なエネルギーマネージメントが求められる
・ローアプローチしたと思ったら、あっという間に天へ駆け上がる。
・すぐに加速したい。すぐにアフターバーナーONにしたい。
実はパイロット「ギアの速度制限」超えないか内心ドキドキ
⑤ ティアドロップ
垂直上昇後、頂点で反転して急降下する機動
空に涙のしずくのような軌跡を描くことからこの名が付いた
上昇からの落差と加速でF-15のダイナミックさを強調する演目
・急上昇したかと思えば、鋭く切り返してズバッと反転
・名前の由来の通り、涙のしずくのような軌跡を描きます。
・涙のしずくじゃなく、汗のしずくがコックピットに落下
・観客の「おぉ!」とパイロットの「うぉぉ!」が重なる瞬間
⑥ スローフライト
失速ぎりぎりの低速で水平飛行を維持する機動
エンジン推力と揚力のバランスを繊細に保つ必要がある
静かなエンジン音とゆっくりとした動きで、観客に緊張感を与える
・アフターバーナーでド派手に飛んできたF-15が急に「お年寄りモード」に。
・スピードスター、ただいまアイドリング中
⑦ ロックウイング
退場時に左右へ軽くバンクさせて翼を揺らす動き
観客への感謝を込めた“パイロットの挨拶”でもある
航空祭の締めとして定番のシンプルで美しい機動
翼を振って、皆さんに最後の挨拶👋
F-2機動飛行演目
① HI-G 8の字
通常の8の字飛行よりも高G(高負荷)で行うバージョン
旋回のたびに6〜8G近い遠心力がかかる
F-2の軽量な機体と高推力エンジンを活かして、
きびきびとした動きで空に∞を描く
機体がギュッと曲がる瞬間、翼根からモフモフ(ベイパー)が出やすい
F-2は操縦桿を縦に引っ張るだけで簡単にGがかかる
操作は楽、体がキツい
※なぜか戦闘機界隈では旋回の擬音が「ゴリゴリ」
例:「ゴリゴリ曲がる」
F-15には負けられん(次回一緒にやってみる・・・?)
② POP UP ATTACK
地上目標への攻撃を模した機動
低空を高速で進入し、急上昇→ピッチアップ→模擬攻撃→急降下離脱
まるで地表すれすれから“飛び出すように”上がる動き
観客から見ると、スッと浮かび上がって一気に反転するのが美しい
F-2といえば対地攻撃
THE F-2という機動
本当はPOPするまで見つかっちゃダメだよ(/ω\)
③ Low Angle Strafing(LAS)
低角度射撃の模擬飛行
攻撃角度を浅く取り、地上へのガンパスを再現する
実際の射撃はしないけれど、照準姿勢→通過→離脱の一連の動作を披露
F-2特有の安定したピッチ姿勢が見どころ
F-15と違ってF-2の機関砲はまっすぐ向いているんだって!
F-15は上向きについているらしいよ!(Wiki調べ)
より低く降りれるのはAGGの特権
④ Low Speed Pass
エアブレーキを開き、失速寸前の速度で水平飛行
翼の揚力だけで浮いているように見える
静かな通過の中で、安定したコントロール技術を見せる演目
風が強い日だと、少し揺らぎながら進むのが逆にリアル
翼の前後を動かして風をキャッチ!
なんとか浮いている状態(;´・ω・)
機体が軽いほどゆっくり飛べます
さて、時速何キロでしょう
正解は240km/h
⑤ Low Speed 8の字
低速で左右に旋回し、ゆっくりと∞を描く
速度を落とす分、エンジン推力と舵操作の微調整が重要
一見穏やかだけど、実はかなり神経を使う演目
翼端のベイパーがふわっと出ることも多い
ゆっくり飛ぶからシャッターチャンス!
乗ってる方もこの科目は楽
F-2のストレーキから出るベイパーって羽衣みたい
⑥ Simulate Flame Out(SFO)
エンジン停止を想定した模擬進入・着陸
推力を絞って滑空し、グライドで滑走路進入→復帰上昇を再現
実戦ではエンジン故障時の帰還訓練
F-2の安定した揚力と操縦性を見せる、静かで緊張感ある締め
単発機の宿命的科目
地味
意外と難しい(計算が必要)
飛行開発実験団 試験飛行演目
① ピッチ周波数応答試験
操縦桿を一定周期で前後に動かし、縦方向(ピッチ軸)の応答を測定する試験
操舵入力に対して機体がどのくらい遅れて反応するかを分析し、
飛行制御システムの調整や感度設定に使われる
説明しよう!ピッチ周波数応答試験とは!!
飛行機を上下に動かそうとしたとき、少しの操舵で凄い動いたり、逆に全然動かなかったりしたら大変なので、それをチェックするのだ!
② ダッチロール周波数応答試験
ロール(横転)とヨー(方向変化)が連動する横揺れ運動を評価する試験
わざと周期的な横揺れを起こして、安定性と制御補助装置(SAS)の特性を確認する
説明しよう!!(ry
ラダーをガンガン左右に踏んで、飛行機が横方向にどう動くかをチェックする試験!
不安定な飛行機はこれだけで墜落します。
③ ステディ・ヘディング・サイドスリップ
機首の方向を一定に保ったまま**横滑り姿勢(サイドスリップ)**を維持する試験
方向安定性や舵面の効き具合を確認する
SHSSは実験団の定番項目で、飛行データ解析にも多用される
くらえ必殺!SHSS!
ステディ・ヘディング・サイドスリップ
略してSHSS(プロレスの技みたい)
ラダーの操舵圧(踏む力)が機体の動きに対して一定の割合で増えていくのが理想(操縦しやすい)
④ レベルアクセル
水平飛行状態から**加速性能(Acceleration)**を測定する試験
スロットル操作による推力応答、速度上昇率、エネルギー保持を評価する
エンジンと空力のバランスを確認する重要なデータ取得項目
水平飛行を保ちながら一気に加速する試験
いわゆる加速性能を評価するための試験
(実際はそれだけじゃないけどね)
5倍以上のエネルギーゲインで加速(当社比)(本人談)
連邦の白い悪魔もびっくり
⑤ フラッター試験
翼や舵面の**空力弾性振動(フラッター)**を確認する試験
特定速度域で振動が共振しないかをチェックし、
構造強度と安全限界を把握するために行う
旗がばたばたする原理、あれ、フラッター現象です
飛行中に空気力によって翼がバタつくと折れます
これが起きないことを確認する試験になります。
(起きた時、貴様はすでに○んでいる→ナニィ!→ヒデブ!)
翼に振動を加えることを「ジャーク」といいます
「シャーク」じゃないです。
⑥ 最大定常旋回率旋回
一定のGを維持しながら**旋回性能(Turn Rate)**を測定する試験
高度・速度を一定に保ったまま、最も効率よく旋回できる限界値を確認する
機体の運動性能評価に欠かせないデータ
絵にするとめちゃ簡単な最大定常旋回率旋回
最大定常旋回率旋回
(さいだいていじょうせんかいりつせんかい)
噛めずに言えたらあなたもテストパイロット
飛行機の旋回による抵抗とエンジンパワーが釣り合う(減速しない)範囲で旋回します。
⑦ ロール性能試験(エルロン操舵)
エルロン(補助翼)のみを使用して**横転性能(Roll Performance)**を計測
ロールレートや応答性を測り、操縦系統のチューニングに活用する
⑧ ロール性能試験(エルロン+ラダー操舵)
エルロンに加えラダー(方向舵)も同時操作して協調性を評価
ロールとヨーを組み合わせた際の制御性や安定性を確認する
飛行機の横転の事をロールといいます
これにも実は性能(+ちょうどいい塩梅)がありまして、1~2秒間に360°くらいが戦闘機には求められています。
0.1秒くらいで回る戦闘機があるとすれば遠心力で失神します
これを操縦桿だけでやるか、操縦桿とラダーを組み合わせてやるかで速さが変わってくるんですね~
なおF-2はこういったことがありません
(勝手にラダーも動きます)
⑨ SPU/SPO
水平飛行から上昇(Pull-up)と下降(Push-over)を行い、
ピッチ挙動・G変化・操縦入力の関係を評価する試験
飛行制御系の反応性と安定性を解析する目的で行われる
はいまた略語です
Symmetrical Pull Up/Symmetrical Push Over(SPU/SPO)
エルロンの効き(ロール性能)と同じで、操縦桿を1㎝引いただけで9Gかかるような飛行機は操縦できませんよね?
(できないんです!わかってください!)
操縦桿これくらい引いたら○Gかかるというちょうどいい塩梅を試験します。
⑩ A/G(Air to Ground)システム評価 緩降下射爆撃法
地上攻撃用(Air to Ground)システムの評価試験
実際の爆撃動作を模擬し、緩やかな降下角度で照準・投下シーケンスを確認する
射爆撃照準装置や誘導制御系統の機能確認を目的とした飛行
飛行試験ではシステム(飛行機に備わっている装備)の試験もします
航空祭でミサイルぶっ放すわけにもいかないので、今回は対地攻撃です。
え?F-15に爆弾積めるのかって?A/Gのシステムがあるのか?
そう思った貴方がターゲットです。頭上注意
以上
いずれブログやYouTubeでこれらの話を出した時にリンクさせます